【現場レポート】リノベーションの「解体」から分かること

こんにちは。
fujitacaリノベーションです。

本日は、10月から工事がスタートした都内のマンション現場よりお届けしています。
こちらは新宿にも近いエリアで、2人暮らしからお子さんいらっしゃるファミリー層まで、幅広い方々が住んでいる人気のエリアです。

そんな場所でリノベーションの依頼をいただきました。
今回のリノベーションは、特定のお客さまに向けたものではなく、不動産会社さんと一緒になって取り組む「リノベーション物件」の創出がテーマ。
エリアや物件の特性に合わせて、不動産会社目線の提案と、リノベーション会社提案と掛け合わせたプランをつくっています。

ちょうど、現場が始まって、定点観測的に写真を撮影しています。
今回は「リノベーションの解体現場」から、リノベーションにて解体を行うとどんなことが分かるのか?について紹介します。

リノベーション前の間取り

マンションの築年数は20年ほど。
地下鉄の駅から徒歩10分程度。大通りから一本入ったところにあるマンションなので、閑静な住宅街に囲まれ、静かな環境です。

共用部や外観はしっかりと手入れされていて、管理人さんもいらっしゃる安心のマンションです。
駐車場などもついているため、主にお子さんがいらっしゃるファミリー層にピッタリです。

リノベーション前の間取りはこちら。現在は2LDKです。

新築のときから大きく変わっていないようですが、新築マンションではよく見られる間取りです。
このままでも十分使いやすいので、今回のリノベーションでは大きく間取りを変えず、部分的に暮らしやすさのポイントをちりばめながら再設計を行っています。

キッチンを解体すると、配管ルートが見えてくる

まずはリビングダイニングからキッチンにかけて。

リノベーション前がこちら。

リノベーション前のLDK写真。キッチンがリビングの奥にあります。


壁付けのキッチンが備え付けられており、リビングがかなり広いです。
キッチンの手前には収納棚と冷蔵庫置き場があるために、壁がつくられています。
今回のリノベーションでは、キッチンの向きを変えて、この壁をなくして開放感のあるつくりに仕上げていきます。

そして、解体した直後の写真がこちら。

解体直後のキッチン周辺。配管やキッチンの換気扇用のダクトが出てきています。


キッチンの給水管・排水管が壁沿いに配置されていることが分かります。
マンションの場合、パイプスペース(PS)と呼ばれる場所にすべての排水が流れていくので、排水管がキッチン奥の方に流れていくことが分かります。

このパイプスペースは、位置を動かすことができません。
そのため、しっかり排水が行われるように設計する必要があるため、キッチンの位置はむやみやたらに動かすことは難しいと言われる所以です。

キッチンを解体することで、さらにリビングが広く見えることがよく分かります。

収納の内部構造を変えるだけで 使い勝手UP

リビング横の洋室。
こちらがリノベーション前の写真。
このままでも十分に使えそうですが、手を加えていきます。

リビング横の洋室。収納もたっぷりですが、お洋服をかけるには大変そう。

一見、こちらの収納は収納量が豊富で使いやすいように見えるのですが、よく見ると和室の押し入れのような構造になっています。
つまり、奥行きが広いのです。

リノベーションにおいて、和室収納は奥行きが深いことに加え、お洋服をたくさんかけることができない場合が多いです。
押し入れ特有の広々とした空間を活かして、ウォークインクローゼットのようなかたちに作り変えていきます。
ゆとりのある収納では、衣装ケースやキャリーバッグなど、大きなものも収納しやすくなり、お洋服もたくさんかけることができますね。

こちらが解体した直後の写真。

壁や建具がないだけでかなり広々とした収納に。

棚板などを撤去すると、思ったより広い空間であることが分かります。
今回はひろびろとした収納に作り変えますが、場合によっては収納をなくして洋室と一体的に使うこともできそうです。

リノベーションの醍醐味は「解体後の開放感」

リノベーション前の洋室(寝室や子供部屋などに使用する想定)。
大きな収納がたっぷりあって、使いやすそうな場所です。

壁面収納。収納力があって便利ですが、収納ドアの前に家具が置きづらい…という要望をいただくことも。

こちらはプランをつくっていく上で、洋室2の反対側にあるリビングやキッチンの収納が少ないのではないか?という考察から、少し壁の位置や収納の配置をずらすことで、使い勝手を優先しよう、という話になりました。

そこで、収納を撤去し、壁を解体。
解体した後の写真がこちらです。

画面奥がキッチン~リビング。床にうっすらと壁の跡が残っています。
コンクリートを流し込んで床を平らにしてからフローリングを張っていきます。

リビングまで広々とした空間がうまれました。
間取りを変えることでここまで開放感がうまれるならば、リノベーションの間取り変更ではさまざまな選択肢がうまれてきそうですね。リノベーションの中でも特に面白いポイントです。

また、床のコンクリートの状況も見えてきます。
床の構造はいろいろあるのですが、今回はコンクリート土台のマンション。
コンクリートの耐久性は非常に長く、数十年ももつとされていますが、次第に床自体がボコボコしてくる場合もあります。
このあたりは整えながら、フローリングを施工しやすいように整えていきます。

水回りは「サイズはそのまま」で交換

水回りとは、キッチン、洗面台、トイレ、ユニットバス(お風呂)を指すことが多いです。

今回は洗面台も交換。
洗面台は、キッチンと同様、配管ルートなどの兼ね合いで位置を大きく変更することが難しいケースがあります。
今回は、一部黄ばみがあったり、汚れが増えてきたので洗面台ごと交換を行う設計としています。

(左)リノベーション前の洗面台  (右)解体直後の洗面台


一見、広々として使いやすそうな洗面台。
そのまま残すのもアリなのですが、最近の製品はさらにお手入れがしやすくなっていたり、デザイン性が高まっている製品も増えています。今回は造作洗面台に作り変える予定です。

また、床の状況を見ると、かなり年数が経過していることも分かります。
水漏れを起こした場合や湿気がたまりやすい場所などは、床が腐食しているケースもあるため、解体してから丁寧に状況をチェックし、交換対応を行うなども実施します。

そして今回はユニットバスも交換します。
ユニットバスも比較的サイズが決まっているケースが多く、通常はリノベーション前と同じサイズのものを入れていきます。
間取りによってはユニットバスの向きを変えてサイズアップさせる場合もありますが、解体することで見えてくる壁の状況、解体可能な壁なのかどうか、によってプランが変更となるケースもあります。

(もちろん、事前調査や推測などで、ある程度あたりはつけていきます。)

(左)リノベーション前のユニットバス (右)解体直後のユニットバス

ユニットバスの下にはいろいろと配管が眠っているのですが、普段使っているユニットバスの裏側がこんな構造になっているなんて、想像もつかないですし、なかなか見ることができないですよね。

まとめ:リノベーションの解体を行ってから分かること

マンションのリノベーションを行うときに、解体を行うといろんなものが見えてきます。
プランニングに影響する要素としては、以下の通りです。

①配管のルートが見えてくる
予想していた配管ルートと合っているか確かめることができます。
予想していたルートが取れない場合は、プランニングを変更する場合があります。

②床の下地の状況が見えてくる
コンクリート床の場合、デコボコを補修したり、フローリングの接着剤がへばりついている場合があるので、補修をかけていく必要があります。
通常、補修費用を見込んでいるケースが多いですが、著しく状況が良くない場合は、追加費用がかかることもあります。

③断熱材の位置や、漏水していなかったかどうかを見ることができる
断熱材が吹き付けられているかどうかというところも、解体しないと見えないポイントです。
断熱材があることで、コンクリート現しができなかったり、壁の位置をずらせなかったり…
そんなことに出くわします。

④元の間取りを撤去した、広々とした空間が見えてくる
壁を撤去してリビングを広くするという場合、壁を解体することで新しい間取りのイメージがつきやすくなる場合があります。
基本的には、解体後に間取り変更を行うケースはありませんが、当初予定していた条件や要望が叶えられなかったときには、一部間取り変更の相談をさせていただく場合もあります。

大規模なマンションリノベーションの場合、「解体後確認会」をセッティングさせていただくことがございます。
そのときは、上記のポイントを中心に一緒に確認を進めていきます。

今後も、こちらの現場の工事レポートを配信していきますので、乞うご期待!

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